【完】好きじゃないもん!


シーンと静まりかえる保健室。



「あ、」

「あの。」


って、声が重なった。

「いや、どうぞ。直から。」


なんか、気まずい・・・。


「あ、あぁ。その・・・ありがとな、美優のこと。」



うん・・・。

直は私の気持ちを知らないんだ。

でも、知らなくっていい。


「あ、そのこと?ぜんぜんいいよ。仲直りできてよかったね。」


「・・・。ちょっとは見直した。たまにはな・・・ってもまだ2日目か。」



ちょっとはってなによ・・・。

でも、自然と笑みがこぼれた。

優しい直も好き、でも意地悪だけど自然なあなたが一番好き。



「・・・じゃあ、そろそろホールに行くか。」


「そうだね。」


でも、

でも!!


ちょっと待って。

「何?この手は?」

私の前に差し出された、直の綺麗な手。


「は?お前、また転ぶだろ?・・・だからだよ。」

・・・。

ずるいよ。2日目でこんなにどきどきしちゃっていいのかな?


少し顔を赤らめた直。

その手に自分の手を重ねた。



暖かい、ぬくもりが伝わる。


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