言霊(詩集)
蒼い草原と翠の空と…




『蒼い草原と翠の空と…』





柔らかい風が芝生を揺らす
ざわめく風は空となり
空はどこまでも澄んで
深く淡く風となる…―
「此処は…何処ですか?」
風が止む。
「分かりませんか?」
風がそよぐ。
「…………」
そっと空を仰いだ僕に
冷たくも綺麗な雫が一粒。
「どうしたんですか?」
澄んだ風が雫をすくう。
「…?僕は泣いていませんよ」
空を仰ぐ。
「泣いているのは……」
「いいえ…空ではありません。
あなたなのです」
風が僕に絡み付く。
「………え?」
「なぜなら此処は……」
風が優しく包み込む。
懐かしく切ない薫り…
…あぁそうか。
此処は………
「あの…此処が分かりました」
僕は微笑む。
「えぇ。良かったです」
風が僕に触れる。
僕を…救ってくれる。
『どうか素直のままで…』
蒼い草原と翠の空と
“優しく儚い貴女”は…―
今日も此処でボクを救う…―
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