愛して。【完】





蓮が、あの男と被って見えて。


体の震えが、止まらない…




「真梨?」


「…ヤ…ッ!ヤダ…っっ!!」




あたしは、怯えることしか出来なくて。


頭を、抱え込んだ。


そんなあたしに、蓮は何を悟ったのか…




「お前……」




と言葉を漏らしてから、口を開く。




「そんなんで、“殺して”とか簡単に言うんじゃねぇ。
あと少し。あと少し、生きてみろ。
俺が…獅龍が、考えを変えてやる。


それでも変わらなかったときは――…




俺が、責任取って殺してやる」




その声が届いた瞬間、フワッと温かい温もりに包まれる。




「大丈夫だ。何もしねぇ。今日はもう寝ろ」




そう言い終わった時には、もう蓮は上にいなくて。


あたしの顔を胸に押し付けたまま横たわっていて、あたしの頭を撫でていた。







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