愛して。【完】





幹部室に再び入ると、みんながこっちを向く。


なぜかみんながあたしを凝視していて。


その疑問を解いてくれたのは、隼だった。




「真梨、いつも違う姿にするって噂…本当なんだね」




あぁ…そういうことか。


今のあたしの姿は、昨日の姿でもなければ、本当のあたしの姿でもないもんね。




「何で、色変えるの…?」




隼が、恐る恐ると言った様子で聞いてくる。


でも、何でって…


そんなの、1つしかないじゃん?




「別に、ただの気まぐれ」


「そう…」




…そんなわけないのにね?


確かに、その理由もあるのかもしれない。


でも、本当の理由は――…


…――醜いあたしを、隠したいから、だよ。







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