愛して。【完】





重い腰を上げると、隼がどうしたの?と声を掛けて来る。


タバコきれた、と一言言うと、それだけで理解したのか俺も行く!と言ってついて来た。


獅龍の奴とは学校で関わりたくなかったけど、キャッキャと笑顔を見せる隼を無理に追い払ったりはしなかった。


…いや、出来なかった。




授業中の所為か誰もいない廊下を通って学校を出る。


今は4限目の最中らしく、あたしは結構寝ていたことがわかった。




学校の一番近くのコンビニに歩いて行って、隼と中に入る。


隼は外見から言って甘いものが好きそうだが、本当にそうらしく、お菓子コーナーに我先にと行ってしまう。


あたしはと言うと、昼ごはんは無しでいいかな~…何て思いながら、レモンティーを手に取ってレジへと行った。


店員さんにタバコを注文すると、あたしの外見からいって吸わなさそうに見えるのか何なのか、吃驚したような顔をする。


それでもそれだけで、未成年のあたしにタバコを売ることに何も言わないのは、このコンビニが光星高校の近くで、不良がよく買いにくるからだろう。


その二つを買ってから隼の下へ行くと、お菓子を持っていた。


量はそこまで多くないけど、隼はまだ買うつもりなのか、う~ん、と唸っていた。


隼に帰るよ?と声を掛けると、ちょっと待って、と言ってレジの方へ向かう。


それを見てからふとお菓子の棚へ目線を向けると、一つの商品が目に留まった。


普通に、どこでも売ってるような風船ガム。


でも、それはあたしの思い出の品で。


妙に懐かしくなって、それを持ってレジの隼の所へ行った。







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