愛して。【完】





車の中にいるのは、運転手の和也さんと蓮、大河、そしてあたし。


目を瞑って腕を組んでいる蓮と、静かに煙草を吸っている大河から、重くどす黒い空気が醸し出されていて。


その二人に挟まれているあたしは、傍から見ると異様な光景だろう。


運転手の和也さんはというと、こんなあたし達を見て知らんぷり。


いつも通りの安全運転だ。


てか、隼とか颯とかタカは?


颯はともかく、隼やタカが居ればこの空気もどうにかなりそうなんだけどな…




どこへ向かってるか、といえば多分倉庫なんだろうけど。


とりあえず、早くどこかへついてほしい……


なんて、思っているのはあたしだけなのか、どうなのか。


…なんて、わからないけれど。


どうでもいいから、この空気どうにかしてほしい…


そんな願いを込めて、あたしはそっと視線を窓の外に飛ばした。








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