愛して。【完】





無理矢理舌を中に捻じ込まれて、口内を乱暴に犯される。


星宮がこんなキスをしたのは初めてで、思わず目をギュッと瞑る。




「やっ…ん、ヤダ……っ」




必死に抵抗を見せるけど、星宮はあたしを離さない。


だんだん体の力が抜けて、足がガクガクと体以上に震える。


温かいものが頬を伝って落ちて。


蓮に見られているという何とも言えない拒否の感情が、沸々と湧き上がる。


蓮にだけは、蓮にだけはこんな姿見せたくなかった。


他の、蓮以外の男にキスされている所なんて、見られたくなかった。




蓮とのキスだったらよかったのに――…なんて、あたしらしくもない馬鹿なことを考えた。




星宮が離してくれる頃には、あたしの足は完全に意味を無くしていて。


あたしを支えるものが無くなった瞬間、あたしは地面にガクンと音をたてるように落ちた。




「…っ……蓮………っ」




その名を呼んで、助けを請う。


蓮の方を見れば“待ってろ”と口が動いた気がして。


ああ、あたし蓮じゃないと嫌なんだ、なんて。


蓮が………蓮が好きなんだ、なんて。




涙が余計に溢れた。






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