レジェンドは夢のあとに【8/18完結】




――おたくのベースを頂きたいんです!!!




めいっぱい叫んだあと、当然のごとく、怖い二人に凄まれた。



「あ? ベース?」

「そ… そそそそそうです」


うまく舌が回らない。
二人がずいっと近付いてくる。

通行人がちらちらとこっちを見てくるけど、もちろん助けてはもらえない。



あたしは頑張って、表情を持ちこたえさせる。

…負けちゃ、だめだ。



「なんでオレら3人じゃねーんだよ。なんでアキトだけ」

「ベースが…必要なんです」

「じゃあいい。帰れ!」


赤髪に突き飛ばされる。

軽くよろけたのを持ち直して、ベース…"アキト"に目をやる。

無表情だったのが、微かに、瞳が揺れ動いた。


「アキトさん」


あたしはまっすぐと目を見て、ゆっくりと言った。



「お願いします。 決めてください」

「…なにがだよ。面倒ごとは嫌だ。リュウたちが行けないのに、俺だけがいけるわけ、ないだろ」


初めて聞いた声は細くて低い、他の誰とも違う声だった。





< 87 / 226 >

この作品をシェア

pagetop