レジェンドは夢のあとに【8/18完結】
――おたくのベースを頂きたいんです!!!
めいっぱい叫んだあと、当然のごとく、怖い二人に凄まれた。
「あ? ベース?」
「そ… そそそそそうです」
うまく舌が回らない。
二人がずいっと近付いてくる。
通行人がちらちらとこっちを見てくるけど、もちろん助けてはもらえない。
あたしは頑張って、表情を持ちこたえさせる。
…負けちゃ、だめだ。
「なんでオレら3人じゃねーんだよ。なんでアキトだけ」
「ベースが…必要なんです」
「じゃあいい。帰れ!」
赤髪に突き飛ばされる。
軽くよろけたのを持ち直して、ベース…"アキト"に目をやる。
無表情だったのが、微かに、瞳が揺れ動いた。
「アキトさん」
あたしはまっすぐと目を見て、ゆっくりと言った。
「お願いします。 決めてください」
「…なにがだよ。面倒ごとは嫌だ。リュウたちが行けないのに、俺だけがいけるわけ、ないだろ」
初めて聞いた声は細くて低い、他の誰とも違う声だった。