鳥籠の中の少女
「緋結ちゃんに私はずっと言い続けてきた。唯人の事を早く忘れて、幸せになってと」



「でも、------------------」



「それは緋結ちゃんの心に閉まっておいて。私は緋結ちゃんの事は恨んでない。嫌いでもない。寧ろ、好きよ。唯人の彼女だからとかじゃなく、緋結ちゃんの誰よりも人思いな所が」



私は一口レモンティーを飲んだ。そして、口を開いた。



「私は人思いなんかじゃありません。現に私はこの事だけは言えなかった。でも、励まされて、いいのかなと思い、その事を伝えるために来ました。でも、私は此処に来て気持ちが揺らいでしまいました」



「別に良いんじゃない?絶対に何もかも話さなきゃいけない訳じゃないわ。それに緋結ちゃんは悪くない」



「悪いんです。悪いんです。悪いんです........悪いんです..............悪いんです..........」



私は泣きそうになって、俯いた。



唯人のお母さんはその事が分かったみたいで一瞬目を見開いたのが視界の端で見える。



唯人のお母さんは立ち上がり、私の方に寄ってきて、そっと包み込むように抱きしめてくれた。



「緋結ちゃんは悪くない。もう1人で抱え込まなくて良いの。緋結ちゃんは3年間も苦しんだでしょ?」



「そんなの足りません。私が唯人の為に出来る事ってなんでしょうか?」



それから暫しの沈黙が続いた。



でも、それは居心地の良いものだった。



「一生懸命生きて、幸せになる事じゃない?私はそれを願ってるわ。唯人も同じはず」



「いいん....です.....か.....?」



私は泣きながら言った。



今日の私は泣き過ぎ。



こんなに感情を持ってただなんて、知らなかった。



「いいのよ」



その言葉を聞きながら、私は泣き続けた。




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