Memory


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『こっちに車を待たせてあるんだ』

『和人さん、車を運転なさるんですね』



他人から見たら何処にでもいるカップルだろう。


でも…違和感があった。
目の前に止まる車…


その中にいる知らない男達。
舞衣さんの動揺が私に直接流れ込んでくる。


『誰…ですか…?』


震えた声、動揺する瞳で和人さんを見上げる。


和人さんはただ不気味な笑みを浮かべるだけだった。

―嫌っ!!!!




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「っ………はぁっ…」


舞衣さんの心の声が頭の中に響いた瞬間、私は触れていた物から咄嗟に手を離した。


「どうした…んだ…?」


夏は心配そうに私に手を伸ばす。私は無言で首を横に振る。


この先は……私にも想像出来る。舞衣さんは多分…


レイプされた…



「……………………」


黙り込む私の頭を憐さんは優しく撫でた。


ハッとして顔を上げると、憐さんの優しい瞳と目が合う。


泣きたくなる衝動にかられたけれど、それをグッと堪えた。


「…舞衣さんが車に乗ったのは事実。目撃証言も間違ってない…」


舞衣さんは多分…騙された。"和人さん"と呼ばれた男とその他の男達の性欲の犠牲になったんだと思う。


「でも、舞衣さんは自らの意思で学校へは行かずにここへ来た。メールのディスプレイに映った"和人さん"という男に呼ばれて…」


そして、舞衣さんは"和人さん"に好意を持っていた。


まがい物の愛情。
作られ、仕向けられた恋。


成績優秀、真面目少女だった彼女を騙すのは造作もなかっただろう。







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