嘆きの天使-ジュニアイドル葵の事情-
第①章

虐待



乾いた春風が頬を撫でた。



紺色のブレザーと

臙脂色(エンジイロ)のネクタイ、

スカートを三つ折りして、
丈を短くする。


中学二年生になった私は

眉毛を整えることも

化粧をすることもなく、

クラスメイトが持って来た
ファッションの雑誌を

横目で、
「良いな」と

小さく呟くだけだった。



そんな私は
HRが終わると

誰よりも早く教室を出る。


目指すは
商店街から大きな通りに出てところにある
格安スーパーだ。


毎日、
ここに来ることが日課になっていた。



トドのような体型の
中年女性に交じり、

食材を物色する。


あ、今日は玉ねぎが詰め放題だ!と

同年代の女の子が
アクセサリーを漁るように、

玉ねぎを手に取ると
半透明のビニール袋へ詰めて行く。


特価品の豚肉やニンジンをカゴの中へ入れ、
レジに進む。



< 2 / 120 >

この作品をシェア

pagetop