嘆きの天使-ジュニアイドル葵の事情-


「おはよう!!!」



周りから
「おはようございます」と声が返ってくる。



その後を付いていくと、

白とピンクを基調とした
部屋に辿り着いた。



ベッドにはレースが飾られ、

いかにも
“女の子の部屋”という感じだった。



「今日、モデルをやってくれる葵ちゃんです!!」



明るく拍手をしながら紹介する緒川さんの後に、
頭を下げる。



周りのスタッフたちも、
緊張を解こうとしくれているのか、

優しい笑みを浮かべていた。



これからこの人たちの前で
裸になるのか……と
思うと、

恥ずかしさから顔を伏せたくなった。



「じゃ……原田さん、
葵ちゃんに色々教えてあげて!!」



緒川さんは一人の女性に、声をかけた。



小柄で髪を一つの束ねた原田さんという女性が
メイクをしてくれるそうだ。



「じゃ、葵ちゃん、二階で着替えようか?」



「あ、はい」



ガクガクと震える
手を押さえながら歩きだす。



「大丈夫??
顔が真っ青だけど……。

緊張してる?」



「あ、はい。

……でも大丈夫です」



「初めはみんな緊張するから。

少しずつ慣れて行こう」



二階へ上がると、

大きな鏡の前で、
髪をブラッシングしてもらう。


原田さんは腰に巻きつけたメイク道具を1本ずつ使い、
私の顔に走らせた。


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