嘆きの天使-ジュニアイドル葵の事情-

大人の世界



次の日、
健太の再検査の結果、

異常がないと診断され、

その日のうちに退院となった。



頭に包帯を巻いた健太は

いつもと変わらない
無邪気な笑顔で私を見ていた。



しばらく安静に……と言われているため、

学校を休んで家でゲームばかりしていた。



そんな日が一週間過ぎた頃……。



「プレステくれた緒川さんっていうオジサンから電話がきたよ!」



学校から帰って来ると、
ゲームをしながら健太が言った。



「そう……」



緒川さんの名前を聞くと、
雑誌に映る自分を思い出す。


コンビニのゴミ箱に捨てた雑誌は、
今ごろ焼かれて灰になっているが

本屋に行けば、
普通に売られている。



誰かに見られるのではないか……と、
また不安が込み上げた。



ところで緒川さんの置いて行った
DVDはどこへ行ったのだろう。



あの日、
プレステ3と一緒に置いて行った3本のDVD。



「健太?
緒川さんが家に来ていた日、
プレステのほかに何か置いて行かなかった?」



さり気なく尋ねるが、
ゲームに夢中になっている健太は

「知らない」と答えるだけだった。



お父さんが隠してくれたのだろうか?


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