えみだま

娯楽と睡魔

「疲れた」

高須の家まで遠かった。

友達の家が学校より時間かかるのはダルい。

「お邪魔しま~す」

「ハロー」

「ハロハロー」

「おはよ~」

しかも真夏の真っ昼間。

1人だけ昼の挨拶じゃなかった気がするけどな。…でもって、その1人はパジャマのままだし。

今日は野口、岩田、高須と遊ぶことになっていた。

1人がパジャマなのは予定外だけどな。

「何する?」

「フィーバー」

俺の質問に、フィーバー岩田はパズルゲームがしたいと言い出した。

「お前以外出来ねぇよ」

「人狩り行こうぜ」

狩人野口は戦国時代の人物や歴史をもとにしたゲームのことを言っている。

「やるかっ」

「クー」

「寝るなーっ」

パジャマ高須は睡魔に敗れた。

「ふぉ?あぁ、悪い」

寝ぼけてる。完全に。

「いや~、みんな元気だな」

「高須、そんな眠いのか?」

俺が問い掛けると、高須は頭から倒れそうな勢いで頷いた。

「7-5だったけど、高須が前衛で、俺ばっか走ってたぞ」

野口達は昨日、テニス部の大会があったらしい。

「それ疲れないんじゃねぇの?」

テニスのことは詳しくないが、話を聞く限り。

「確実に俺の方が走ってる」

会話からして野口と高須が一緒に出たっぽいけど、そんな不公平な体力消耗があったのか。

「一志~、何があったか知らんけど起きんか~」

岩田が膝をついて、高須の方へと起こしにかかった。

隙ありっ。

「よし、俺が先じゃー」

俺はコントローラーを奪取した。

高須の家にあるゲームは2人までしか出来ないゲームが多い。

「あぁっ、瑞紀ずるい」

「油断せず行こう」

「あっ、テニスのゲームやる?」

「俺だけ出来ねぇよ」

ルールすら知らねぇし。

「やってみようよ~」

「コントローラーと選択権は俺が握っているっ」

「選択権は高須だろっ。ってか俺待ってる」

「オーケー」



高須の家でひたすらゲームしていた。

外はまだ明るいが、夏は日の入りが遅い。

時間帯的には小学生が帰る時間ぐらい。
< 17 / 23 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop