インサイド
「オレはきっと、いつかは千帆のことも思い出すんだろうな。同じ曲を聴いたり、同じ想いを聴いたり」

「そうね。それに応えてね、私たちは」

 ん。

オレたちはそうして、存在しているものだから。


 幾千の音楽が通り過ぎてゆく中で、呼び覚ますほんの数曲の持つ力。

幾多の魂の、輝く指先のその瞬間。

もちろんその光との邂逅を求めているのだとしても。


 願うのはただ、響き続ける音のこと。

君の指、君の心、君そのものが響くこと。


それだけをただ続けていきたいだけなのだ。
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