【一話読み切り】 科学は「愛せ」と言っている
ACT.2 ビタミン
 科学は「愛せ」と言っている
 ACT.2 ビタミン


 理科の教科書は、愛のバイブル。
 
 隅々まで優しさで彩られ、ページを繰れば愛を詠う。


――――
―――
――
 
 その地獄に住むは、睡魔である。

 地獄の世界史Bが終わって3限目のチャイムが鳴るや否や――
 
 「――! ビクッ!」
 隣の席からのいつもの”あの音”で、私は叩き起こされた。


 クシャ、クシャ、クシャ!

 遠慮なしにコンビニの袋を、まさぐると、こういう音がするんだ。


 そんな不必要に大きな音を伴って、袋から取り出されるのは、決まって「カツサンド」だった。


 そう。
 教壇にはまだ先生がいるのに、こんな事をするのはヤツしかないない。
 もちろん、隣の席の、バカバレー部だった。



 「――チッ!」
 ソースの匂いが私の食指を刺激し、思わず舌打ちした。

 美味そうに食うなぁ、おい!
 女子だって、お腹減ってんだぞ!
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