【一話読み切り】 科学は「愛せ」と言っている
 私は―――といえば
 理科の資料集をまるでファッション雑誌のように繰っている。

 教師に文句言われたくないし、でも勉強はしたくないし、でも理科は好きだし。
 これが最高の時間つぶし。


 つーか、夜型の私はこの時間に勉強はしないのだ。

 「でも大丈夫よ。ベンソン回路なんて、余裕で理解してるし」 

 窓の外には、入道雲が流れている。
 遠くから蝉の声が聞こえていた。

瑞々しくも気怠い青春の午後。
 全てが無駄に思えるし、全てが無駄でないようでもある。
 そんな午後。


 時の流れを感じながら、私は不意に、「目の成り立ち」についてのページに目を止めた。

 
 ハエ、イモリ、カラス、キツネザルの目のアップ。
 色々な目。
 なかなか、趣のある写真群だ。

 彼らはこの目で、一体どんな世界を見ているのだろう?
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