真昼の月
ただいま」
麗がOT室から戻ってきた。
手にはペーパーフラワーの束があった。
ピンクと白と薄紫のミニバラの束だった。
ピンキング鋏で切り取られた紙片が葉の替わりだった。

「綺麗ね」
あたしは麗に話しかけた。

「ありがとう。聖羅さん」

「さん付けで呼ばなくても平気よ。杏奈ちゃんともお友達になったから」

「じゃあ聖羅ちゃんって呼んでいい?」

もちろん。あたしは微笑んだ。
麗は色が白くて白磁の人形のようだった。
異様に細くて大きい瞳に黒々としたまつげが影を落としていた。
髪は黒くて長く、前髪を切りそろえていた。綺麗な子だ。

「この前あげたかごに、このお花入れるといいと思う」
はい、と麗は杏奈に花を差し出した。

「ありがとう」杏奈は笑って両手で大事そうに花を受け取った。

「色がかわいくて素敵」

「あたしの好きな色。ピンクと白とうすい紫」

「麗ちゃんそういう色の服に合いそうだねー」と杏奈。

「うん、いっぱい持ってる」

「聖羅ちゃんはどういう服が好き?」麗が尋ねた。

「うーーんあたしはいつも黒と白とチャコールグレイ。たまにベージュを着るよ」

「それって色じゃないよね」麗が言った。

「色じゃなくて明度。明るさの違い。白は一番明るい。次がグレイ、黒は一番暗い」


「自分に合う色ってわからないのよ」あたしは言った。

「聖羅ちゃん目を見せて?」麗があたしの瞳を覗き込んだ。
あまりにまじまじと見るので
同性なのにどきどきしてきた。
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