続・狼彼氏×天然彼女
でも自分の目から暖かいものが流れているのが分かった。
嬉しいのに、流れ出した涙は止まることなく頬を流れていく。
笑ってるつもりなのに
嬉しいはずなのに
嬉し涙が流れてるはずなのに
「あの、これで」
「分かりました。名前を教えてもらってもいいですか?」
「実紅と舜で」
「…では、一分で出来るので少し待ってて下さいね」
泣いてるあたしの横で、もうリングに名前を掘ってもらうように頼んでる舜は落ち着いていた。
あたしは涙で顔がぐちゃぐちゃになってるっていうのに
横の舜は冷静で落ち着いていて、いつもの舜と変わらない。
何で平気なの。
何で落ち着いていられるの。
明後日には、県外の家を探しに行かなきゃいけないのに何で平気なの?
冬休みにも入っちゃうのに……
もう決まったことは遅いのかもしれないけど
冬休みの間は県外のアパートに慣れるように県外で過ごすことが決まった。
それは舜が決めたことだし、舜のためだから我慢するつもりだった。
冬休み前には絶対に涙を見せないと決めた………はずだった。
なのに泣いてしまった。
しかも舜の前で。
顔がぐちゃぐちゃになるくらい。
そして、その日は涙が止まらなかった。
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