甘くないコーヒー
「明日見の夢は何だった?」

オレは唐突に聞いた。

明日見は、白米を食べようとしていたところだった。


ここ最近は、いつもオレの家で一緒に食事をした。


料理人が夢だったから、料理するのは全然、苦ではない。

むしろ、ストレス発散効果があった。

明日見の為に作るのも、楽しかった。


「ケーキ屋さんか、写真家。」

白米を一口、口にほうばった。


なんだか、分かるような気がした。


「光ちゃんは何だったの?」

次は、卵焼きに手を伸ばしていた。


「料理人か大工。」


「大工なんて似合いそうだね。オヤジって、呼ばれてそうだもんね。」


甘くない卵焼きが食べたいと、リクエストされて作った卵焼きを、明日見は美味しそうに食べながら言った。


「コーヒー屋になったのは何故?」


明日見は、あまり答えたくないようであった。

「私を産んだ人が、コーヒー嫌いだったから。」

オレの方を見ずに、感情のない声であった。


また、明日見を傷つけてしまったのだろうか…

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