ありえない彼氏
「そりゃもちろん!これで由香の隣にいれるし、ご褒美ももらえるんだから。」



ニコニコと笑いながら言うと「ご褒美?」と首を傾ける佳織を置いて、そのまま腕をひかれながら、誰もいない体育館裏にまで連れてこられた。


「翔太、みんなほっといていいの?」


「いーの!今は由香にご褒美もらう方が大事。」


誰もいないことを確認すると、ぎゅっと抱きしめられた。


「……ね、俺のこと見直した?」


甘い声で囁く翔太。

一瞬何のことかと思い、すぐに理解する。


(私が委員長のこと見直したって言ったの、気にしてるんだ…。)



「……見直した、じゃなくてもっと好きになった。すごくかっこよかったよ、翔太。」



ふにゃりと笑った翔太を見てから、私は背伸びをして、


そっと唇を重ねた―――。




< 33 / 199 >

この作品をシェア

pagetop