鬼に愛された女


だが妖怪が溢れていた時代に鬼は人の血を好んですすっていた


その時に人は鬼へと化したが、純血の鬼たちは鬼化した者たちを拒み、差別してきた


白雲もその、差別されていた者の一人だ


特に鬼は外見が良ければ良いほど妖力が強い


白雲は美形の類に入っていたため、それをうらやむものたちから強く差別され、時には暴力をふるわれた


今までは理不尽に自分を鬼へと変えた純血の鬼を憎んでいたが、時が変わるほどに憎しみの矛先は人へと変わった


弱い人間が存在するからこのようなことが起きるのだ……


だから彼は、鬼が減って、人を鬼化させなくてはいけない時代が来ても、元人の鬼を忌み嫌っていた


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