たとえばの明日に花束を




学校はいつもより静かだったけど、やはり少しは騒がしかった。

教室に先に居た麗子がかけよってくる。


「天音……、今日放課後いっしょにお見舞い行こうか」

「……うん…」



「おっはよー、麗子チャン!天音チャン!」



急に降りかかる声。

クラスメイトの、クラス一カワイイ女の子と噂の沢渡真綾ちゃんだった。


「おはよう沢渡さん」


返事は麗子が返した。


「ねぇねぇー、


佐倉クン事故にあったんでしょ?」

「………っ」



「かっわいそー!!」


麗子が沢渡さんをキッと睨んだ。


「ヤダこわーい。

バカにしてないんだからぁ、許してくれなぁーい?」

「ふざけんじゃないわよ」

「きゃははは、怖い顔!!じゃあ、真綾これからデートだからぁ」

「え?授業は……」



止める間もなく勝手にしゃべって勝手に出て行ってしまった。




志紀が事故にあった。

他の人が知っている。それはもう、志紀が事故にあったことを現実にした。


―受け止めざるをえなかった。
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