たとえばの明日に花束を


ビリリ……

「…志紀…?」


志紀の字が、中に入っていた便せんに並んでいた。

それに目を通す。

綺麗な文字を読みあさるように。




実際は読みあさるほどなかった。


ただ一文、




"好きだ"と書かれていただけ。





ポタッ

便せんを私の涙が濡らし染みを作る。私は手紙を抱えてわんわんと泣いた。





この世から産み落とされた子供のように




ただただ声をあげて泣いた――。
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