恋人 × 交換!? 【完】


湯気をかきわけて、奏がよそってくれる。



頭はまだズキズキして熱っぽくはあるけど、このとき、風邪引いてよかったかも、と不埒なことを思ってしまった。



「こっちのみそ汁からすすっとけ。卵がゆは、まだ冷めねぇし。食べ終わったらしょうが湯作ってやるから、飲んでまた寝ろ」



てきぱきとした口調に「慣れ」を感じながら、おみそ汁をひと口すする。



「美味しい……」


「手のこんだやつじゃないけど。ネギと豆腐だな」


「ダシがすごく出てる、ね」


「かつおといりこだ。ちょいかつお多め。粉末のやつをざっと入れただけだから、手抜きもいいとこだけどな」



よどみのない喋り方からして、普段から料理をしてるのがよくわかった。



「……か、奏って」


「ん?」



もうひと口すすって、私はたずねてみることにした。

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