甘い毒
甘い毒
そういえば、いつも会うのは夜だった。

こんなに明るい陽の光の中で会う事は一度もなかったな。

目の前で笑ってるお前は、ひらひらと舞う蝶で…。


「幸せ、なんだな。」

「そう見える?」


俺の言葉に“ふふ”って笑って、逆に質問してくるお前。


「あー、ムカつく程。」

「うん、幸せだよ。」

「そっか…」


眩しいぐらいの笑顔。

ほんと…泣けてくるほど綺麗で、二年という時間が憎らしかった。


「でも、失敗しちゃったかな…蛾にね、なっちゃったみたい。」

「どーゆう…」

「誰も、愛してくれないんだもん。」


そう言ったお前は、ほっそい髪を指に絡ませて弄ぶ。


「長続きしないんだよね…」

「なぁ‥‥それ、やっぱ癖だな。直んねぇの?」


お前の変わらない部分が、愛おしいと思った。
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