櫻井くん。
「別にいいじゃん。逆に百合の気持ちに気づいてくれるかもだし。」
「気づかれたら困るし…」
はぁ、とため息をつくと、奈々は再び堂々と櫻井くんを振り返った。
「顔だけは良いんだけどね…なんていうか、後ろにまとってる雰囲気がちょっとね。暗すぎ。」
「ジロジロ見すぎ。」
「大丈夫っしょ、櫻井こっち見てないし。てかー…」
体勢をもとに戻す奈々。
机にひじをついて手の上にあごを乗せると、何かをたくらんだような目でこっちを見てくる。