冬うらら~猫と起爆スイッチ~

 遠出のせいもあるし、トウセイというイレギュラーが起きたせいでもある。

 帰ったら、少し足を休ませようと思った。

 なのに。

「え…」

 メイは立ち止まる。

 確かに、見覚えのある銀行であった。この辺りでは、よく見る銀行である。

 そう。

 よく見る銀行なのだ。

 そして、ここは同じ銀行の彼女の知らない支店だったのである。

 と、とりあえず一回、さっきのとこまで戻って。

 キョロキョロしながら歩いた。

 もしかしたら、途中の筋に知っている道が見えるかもしれないと思ったのだ。

 すると、道の奥の方にコンビニが見えた。

 ああ、よかった。

 そのコンビニの向かい側を歩いてきたのだ。
 メイはそっちに曲がった。

 コンビニ前に、到着して気づいた。

 そう―― コンビニなど、狭い範囲の地区であっても、同じものが山ほどあるのだと。

 彼女は、また間違ってしまったのである。

 ここ…どこ?

 交差点の目の前。

 信号が青になると、多くの人が行き交う。

 みんな、この付近をちゃんと知っているらしい足取りで、どんどん目的地に向かって歩いていく。

 メイは。

 立ちつくしてしまった。

 彼女は、自分がどこに行けばいいのか、分からなくなってしまったのだった。
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