冬うらら~猫と起爆スイッチ~

 翌日は土曜日だ。

 しかし、カイトは出勤した。
 メイが起きるよりももっと早い時間に。

 星もない明け方と、太陽の出ない昼間がすぎていく。

 そして、真夜中までプログラムを組んだ。

 リハビリをするように、少しずつプログラムを組む。

 意識よりも早く入力出来るはずのこの指は、組み方を忘れてしまったのか。

 いや、そうではない。

 記憶が戻ってきて、彼をかき乱すのだ。

 決して、プログラムに集中させまいとする。

 そのたびに指が止まる。

 ゲーム機にソフトを突っ込んだ。

 まだ、こっちの方が集中できそうな気がしたのだ。

 そして、どんどん時間だけが過ぎていく。

 真夜中。

 フラフラになりながらも、彼は家に帰り着いていた。

 ドアの前で、カイトは止まった。

 また、彼女が向こう側にいるのではないかと思うと、手が震えるのだ。

 目をつむって、強く開く。

 いなかった。

 はぁ、と深いため息をついてドアを閉める。

 まだマシだった。

 彼女の視線に晒されるよりは、こっちの方がマシだ。

 いや、会いたい。

 でもそんな権利は、もうカイトにはなかった。

 部屋に入る。

 しかし、それだけでも辛さが押し寄せた。

 メイの痕跡が、どこにでもあったのだ。

 ビールの缶は片づいていて、ベッドも整えてある。
 間違いなく、彼女がしてくれたのだ。

 押し入れからビールの缶を取り出す。

 ぬるくてもマズくても、そんなものは何も関係ない。

 ぐいぐいと胃袋の中に流し込むだけ。
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