冬うらら~猫と起爆スイッチ~

 ラスボスが笑った。

 殺した。

 終わった。

 カイトが、ふぅと息をついだ瞬間―― 扉が開いた。

 凍り付いた。

 誰かいるのだ。

 女だった。

 黒い髪の。

 カイトは総毛立った。

 全身の血が一気に巡り、心臓が激しく打ち始める。

 手のひらにいやな汗をかく。

 思い出そうとした。

 自分がどういうプログラムを組んだのか。

 このラストシーンで、一体どうなるのかを思い出そうとしたのである。

 しかし、それよりも画面の進行が早かった。


『さようなら…』


 黒い髪の女は。

 泣きながら、カイトを殺した。

 身体の中で、何かが止まったような音がした。


 視界が―― 真っ暗になった。
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