冬うらら~猫と起爆スイッチ~

 普通の状態なら、ハルコだってもう少しカイトのためにいろんなことが出来るのだが、いまは自由がきかない。

 彼だってハルコにかまって欲しいとは思っていないだろうし、そっちの方が余計に素直に受け入れられないだろう。

 まだ病院で義務として、強制監禁しておいた方がマシではないか。

 きっと年明けには、身体が元通りまで回復するだろう。

 点滴に規則正しい食事―― ひたすらの休養。

 彼が抜け出さなければ、の話だが。

 ソウマが、病室のドアを速いタイミングで3回ノックする。

 返事を待つこともせずに、彼はドアを開けた。

 個室と聞いているので、他の患者に気遣う必要はなかった。

 カイトは、眠っているようだった。

 点滴の液だけが、規則正しく落ちている。

「まあ…」

 ハルコは驚いた。

 元々痩せてはいたけれども、やつれた―― という言葉がぴったりだ。

 こんなにボロボロになっているとは思ってもみなかった。

「絶対…」

 ソウマが小さくぼやいた。

「絶対、正月過ぎまで退院させんぞ」
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