冬うらら~猫と起爆スイッチ~

 耳元で、メイの吐息が乱れる。

 小さな声が混じるが、必死に押し殺そうとしているかのようだ。

 その吐息が、更にカイトの頭を吹っ飛ばした。

 早く、彼女を自分のものにしたかった。

 どんなにカイトが愛しく思っても、結局彼はそういう風にしか考えられないのである。

 いや、最初の時の失敗とは違う。

 あの時は、絶対に心が通じることはないだろうと思っていた。

 だから、とにかくどんな手を使ってでも、離れられないようにしてしまいたかったのだ。

 それが、手に入れるということだと思った。

 でも、今は違う。

 身体だけではなく、彼女を丸ごと自分の内側に引き込みたかったのである。

 その代わり―― 自分を全部持っていけ、と思った。

 オレを全部くれてやる!

 彼女を自分のものにするのと同じように、自分を彼女のものにしてしまいたかった。

 違う国の硬貨を交換するように、お互いの心を渡してしまいたかったのだ。

 けれど。

 ただの交換では済まない。

 カイトの全てを持たされたメイを全部、彼は抱えて連れ帰りたかったのだ。

 一秒だって離れていることなんか考えられない。


 もう。

 二度と。

 離さねぇ。
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