冬うらら~猫と起爆スイッチ~

 メイの呼吸が聞こえた。

 音と、指先を通して。

 普通の呼吸よりも、少し乱れている。

 彼女も。

 カイトの存在に、胸をざわめかせているのだ。

 自分と同じように。

 手探りで――キスをした。

 さっきまでのキスとは、また違うような気がする。

 変に周囲の静かさが強調されるのだ。

 だから、触れあっている唇が動く、微かな音まで聞こえてきそうな気がした。

 ざわざわと、カイトの背筋が嵐の到来を告げ始める。

 顎から首に、そして胸にたどった手が、彼女の心臓の音と柔らかさを見つけた時、頭の奥で雷鳴が轟いた。

 シャツ一枚では、決して隠せないメイの鼓動が、はっきりと、そして激しく手のひらを打つのである。

「あ…」

 その感触にか、彼女が小さな声をあげる。


 もうダメだった。


 嵐が、来た。
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