不完全な完全犯罪・霊感探偵瑞穂誕生
有美は泣いていた。

でも俺にはどうする事も出来なかった。

千穂と百合子の前に名乗り出る事も、有美を抱き締める事も。




「出ようか?」
俺は言った。
でも有美は動こうとはしなかった。
イヤ出来なかったのだ。


有美は放心状態だった。

俺はそっと有美の横に移動して、体を支えて立ち上がろうとした。


探偵事務所を出た時にはしてなかったお化粧が、涙でボロボロだった。

有美は鏡を見ていた僅かな間にバッチリメイクをしていたのだった。


有美は有美なりに、二人には気付かれないように思っていたのだった。

俺は気付なかかった。
余りの早業だった為に。
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