それでも朝はやって来る
「真楯…」


と言うと後ろに控えていた真楯が、銀の短剣のような物を悠里に手渡した。

みるみるうちに真っ赤に染まった悠里の瞳が、棗のソレを捉えて口から引きずり出した。


「あれは…俺のだと言っただろう?貴様、聞いてなかったのか」

『ち…違うんだ。そんなつもりはなかったんだ。ただただあの小娘の甘い馨りに誘われて…』

「言い訳は聞かねーよ。俺に2度目はない。」


青白い煙のようなソレは苦しそうに大きく小さくなったりしたが、悠里が刃を突き刺すと鼻を突くような臭いを発しながら消えていった。





呆然ともう消え去った青白い煙の影をながめていた。

真楯が自分が着ていたジャケットをそっと、朝子に掛けてくれた。


「おい、大丈夫か?」


ふわりと温かい悠里の手が頬を包む。

自分の胸元に冷たい風か吹いて、現実を思い知った。

引き裂かれたブラウスに、捕まれた腕がジンジンと痛んだ。

見れば、スカートから出た無造作な足には無数の擦り傷やアザが出来ていた。


「悪かったな…」


何に対して?


助けたのに、擦り傷やアザが出来ていたから?

ブラウスが破られちゃったから?



保健師のところに行ってて、すぐ来れなかった…から?




なんで、悠里が謝るのワケわかんない!!




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