あなたがいたから
「ごめんなさい……ッ、すぐに戻ります……!!」
バッと立ち上がって、急いで走った。――ハズなのに。
……なぜ動けない?
「ねぇイインチョ、みんなに謝る前にさ、
俺にしないといけないこと……ない?」
動けないのは、私の腕を神崎くんが
掴んでいたからで。
真剣なまなざしで見つめられる。
夕陽に照らされて、神崎くんの明るめの
茶髪が金色に輝いて、瞳も輝いてて。
顔の彫が深いからか、
顔には所々影が落とされている。
頬には長いまつげの影も落とされていて。
そのすべてが神崎くんのかっこよさを
表しているかのようで……。