舞い降りた天使と悪魔

「い、いらねぇよ‥っ!
お前からの食い物なんて‥‥」



阿久摩くんは一瞬だけ曇った顔を見せたが、すぐにいつも通りの表情に戻った。



「おいおい、人種差別か?」


「‥‥‥‥‥っ」


「ま、良いけどよ」



阿久摩くんは、持っていた包み紙からチョコを取り出し、自分の口の中へと消し去った。



「じゃあな、雪梛、安宮知香。
夜道には気をつけろよ」



そう言い残し、阿久摩くんは教室から立ち去った。

‥‥フルネームとは何と気に食わない。
< 56 / 71 >

この作品をシェア

pagetop