シャープペンシル
「そぉなの!?何の教科やってるの?
「俺は数学と理科」
「まじ?うちが嫌いな教科そろってんじゃん・・・」
私がそう言うと、拓はちょっと寂しそうな顔をして
「そうなのか?」
なんて言うから、私はあわてて
「拓が教えてくれるなら頑張れるかも・・・?」
なんて言ってた。
拓は嬉しそうに
「だろ?ホントは楽しいって!!」
って言いながら笑ってた。

「梨美?何か悩みでもあったりする・・・?」
「なんで?」
内心ビックリしすぎて心臓がうるさかった。
「なんかあるのかな?って思って」
「別にないよぉ!」
「そっか。だよな~!気のせいだったわ」

嘘だった。ホントは誰かに話したくて仕方ない事があった。
でも、拓を心配させたくないし、私のせいで重荷を背負わせるのはイヤだったから黙っていた。

私は気まずい空気をごまかすためにテストのことを話した。
出来るだけ明るく、何もないように振舞って・・・。

「そのテスト、案外受かってるかもしれないぞ?」
「ないよ!私馬鹿だし・・・。」
「そんなこと言うな!いつでも教えてやるから」
「本当!?」
「おう!・・・じゃぁ、毎回この時間にすぐそこのファミレスでやるか?塾じゃ時間合わないしな・・・」
「うん!」
私は飛び上がりたいくらい嬉しかった。

そう、悩んでる事なんて忘れちゃうくらい・・・
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