愛たい

八話 傷つく心


ズキズキ

といつもより激しく痛む胸。

それに増して動悸と目眩がした。

「っ、はあ、はあっ」

…苦しい。

あまりの苦しさに涙が出た。

「っ、はっ、はあっ」

時間が経つごとに荒さを増す呼吸。

キスなんて、想像ついてただろ?

付き合ってたんだから、当たり前のことだろ?

なのに、

こんなに胸が傷んで

涙が出て

息が出来ない。


……苦しい。


「っ、あっ、はあっ」

本当に息が出来なくなって首を押さえた。

俺の目の前が真っ暗になった。

途端、

ガンッ

と音をたてて俺は頭を強く打った。

そして俺は、

静かに目を閉じた。

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