愛たい

多分、俺は相当悲しそうな顔をしてたんだと思う。

『…ハル君が好きです』

再び佐藤の口から吐かれた俺への気持ち。

佐藤の心臓の鼓動が直接、俺に伝わる。

佐藤の落ち着いた呼吸が耳元で繰り返される。
佐藤の温もりが俺の体に伝わる。
佐藤の手がさっきよりも強く俺を抱き締める。

…佐藤の気持ちが直接、伝わった。



しばらく続いた沈黙も何だか全然、苦痛じゃなくて。

佐藤の息づかいも佐藤の温もりも何だか、

…心地良くて、安心した。

俺は佐藤の背中に思わず手を伸ばし、目を閉じた。

< 92 / 165 >

この作品をシェア

pagetop