きみらしさ
昼休みになって教室で由依を見て、自分自身の不甲斐なさと由依への申し訳なさで、冷静になれなかった。

苛立ちを露わにする俺を見て、由依はひどく悲しい顔した。

俺は由依の笑顔が好きなのに、俺のせいで悲しい顔をさせてたことに自己嫌悪に陥りそうだった。


授業開始の鐘が鳴る中、俺は由依の手を引いて屋上に出た。

ひどいことを言ったのに、俺の手を振り払わず黙ってついて来てくれた由依を見て、抱きしめたい衝動に駆られた。

だけど、由依が涙を流していることに気付いて、まずは気持ちを落ち着けることにした。


由依が不安になる必要なんてないくらい俺は由依が好きだという事実

誰にも邪魔されたくないという『独占欲』

他の男が由依を可愛いと言うことへの『嫉妬』


うまく伝えられる自信がなくて、もしかしたら由依に引かれてしまうんじゃないかと不安だった。

由依の前では格好良い男でいたいのに、全然格好良くない俺。


でも好きな子を不安にさせるのが、男として一番格好悪いだろ?


だから全部曝け出した。

きっと由依は受けとめてくれると信じて…
< 21 / 27 >

この作品をシェア

pagetop