ケダモノ、オオカミ 時々 王子
2章 S野獣、ツンデレ姫
「なんで思い出作りにココ?」
「お兄ちゃんとの思い出の場所」
連れて来たのは、市民公園。
小さい頃、お兄ちゃんとよく来た所なの。
「写真撮ろう」
「思い出作りだろ?ちょっと話そうよ?」
「だめ。写真撮ろう」
渋々横に並んで来る狭山。
「ねぇ狭山?」
「立郁。…だよ?」
「立郁?なんでお兄ちゃんと仲良しだったの?」
「別に、悠一が好きだったから」
好きって…。
「怪しい関係じゃねーよ。大丈夫。お前には何もしない」
立郁がニコリと首を傾げて微笑む。
その瞬間、立郁の顔が近づく。
こいつ、キスしようとしてる?
「なんもしないって言ったぁ」
立郁の口を強く押さえる。
嘘つくなんて最低。
「帰る」
「怒ってんの?」
無視して家路へと足を運ぶ。
「なぁっ!」
「なに?変態!」
ショックだったんだから。
ちゃんと話しがしたかったのに。
「まてよ。俺の言うこと聞け?」
「は?悪いのあんたでしょ!?」
「だからって無視すんな。俺が許さねぇ」
俺様発言しだす立郁と、キョトンとする私。
かなり不思議な光景。
「話し聞くか?りぃゆちゃん」
「帰るっ」
「じゃ、誘拐っ」
お姫様抱っこで私を連れ去る立郁。
こんな恥ずかしいとこ、誰にも見せらんないから立郁の胸に顔を埋める。


「李由?目、開けて」
「誘拐犯。次は何?」
立郁が連れて来たのは…。
「学校?」
結局戻って来ちゃった私達。
一体何が目的なんだか。
「俺達さ気持ちわりぃ位仲良くて、ずっと学校で語りあってた。俺と悠一が最後にぶつかりあった場所」
お兄ちゃんは、成績優秀で優等生。
目の前のコイツは、ご立派なヤンキー様々。
何で二人はぶつかったりしたんだ?
「授業戻りたい?俺といたい?」
上から目線で私に問い掛ける立郁。
切れ長な目してるけど、瞳は身震いするくらい優しい。
このままココにいてもいいかも?なんて思わせる目。
「教室まで案内して」
「語尾にハートつけんな。恐ろしいっつの」


教室に戻った私達。
そう、なんと私達、同じクラスらしい。
お兄ちゃんの幼なじみと仲良くお喋りするなんて、夢にも思わなかった。
しかもこんなヤンキー。
その上、先生からは厳しいお説教。
悪夢。
悪夢だ………。
ヤンキーのレッテルを貼られて過ごすなんて悪夢以外の何物でもない。
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