言葉にしなきゃ伝わらない。

月が沈む


美月side



暗く深い...静かな場所。

誰からも見られない...たった1人の空間。


・・・そんな場所なのよ、ここは。





「美月―――、いい加減に起きなさいよ!!!!」


右耳から大きな声が聞こえた。




ここは誰もいないはずなのに・・・




「ちょっと美月――!!起きろって言ったら起きなさい!!!」


大きな足音と共に大きな荒い声が聞こえる。





ガチャッ!!


勢いよく扉が開く音もする。


さっきから周りがうるさい。



「み――づ――き―――!!!起きろ―――――!!!!」

さっきとは比べ物にならないくらい、一層大きな声が私の隣で聞こえる。




もう・・・ほっといてくれればいいのに。





辺りは暗く、深い場所。

たった1人の私の居場所。


誰も立ち入ることができない・・・秘密の空間



「はいっ!!おっはよ~~~美月」


急に視界が明るくなった。


でも、辺りはぼやけて見える。


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