三度目のキスをしたらサヨナラ
「違うよ」

そんな言葉を零しながら、ソウの唇は私の首筋へと下りていく。

そして、私の耳元で

「……俺、ソウじゃないよ」

と囁くと、ソウは私の肩に自分の顎をのせて、じっと私の次の言葉を待った。


「……こんなの、ずるいよ」

私は泣きながら、ソウにされるがままになっていた。



──じらされるのがイヤな訳じゃない。

苦しいのは、私がソウの名前を呼ぶことで、本当に私たちの《ゲーム》が終わりを迎えてしまうということだ。

そして、その後に待つのは、別れ──。


このまま逃げ出してしまいたい。

だけど私は、《ゲーム》を終わらせて、ソウをミナちゃんに返してあげないと。

ソウは私のものじゃない。
彼女のことを、私のように泣かせるわけにはいかない。

だから、早く言わないと。

自分のこの気持ちの正体に気が付いて、後戻りできなくなる前に──。



私は目に浮かべた涙にいろんな思いを詰め込んで、ぎゅっと強く目をつぶった。



「……海……」



震えながらその言葉を口に出すと、大粒の涙が頬を伝う。

ソウは私をじっと見つめると、私の髪を撫でる手を首筋からうなじへと回して、私を強く抱き寄せた。


「ありがとう、ミナさん」



そして、


一度目よりも長く、

二度目よりも深く。


泣きながら、

私たちは三度目のキスをした。




< 146 / 226 >
表紙・目次

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop