三度目のキスをしたらサヨナラ
海はまた1歩、私の方へ歩み寄って来た。
「あーどうしよう。なんだか無性にキスしたくなったんだけど。……駄目?」
私は頭がクラクラするほど、大きく首を横に振った。
「駄目! 無理よ!」
「どうして?」
「だって……こんな場所じゃ、人が見てるし」
「ここには俺たちしかいないよ?」
耳を澄ますと、微かにバスのエンジン音が聞こえてきた。
「ほらっ! バスも来るから……」
「あれは路線バスだよ。ずいぶん離れてるし、ここには当分バスは来ない」
海は私の反応を楽しみながら、周囲を見回してそう言った。
──どうしよう。
名前も年齢も、全て本当のことを知られて、「ありのまま」になってしまった私。
──そう思っただけで、まるで身ぐるみはがされてしまったように恥ずかしくて。
私の心臓のドキドキという音は一層早くなり、顔は湯気でも出てるんじゃないかと思うほど、赤く、熱くなっていった。
そんな私の気持ちを知ってか知らずか、海の手が私の手にそっと触れる。
だけど。
たったそれだけのことなのに、飛び上がりそうなほどドキッとさせられて。
私は思わずその手を払いのけてしまった。
「ごめんね……なんだか私、ドキドキしちゃって。おかしいよね、今までこんなことなかったのに」
海は笑って、もう一度私の手をぎゅっと握った。
今度は、私が決して逃げないように、強く、包み込むように。
「ミナミはやっぱり狡いよね」
私が抵抗しないのを確認すると、海はその手を私の肩へ移動させた。
私の肩を抱くその手は優しかった。
逃げようと思えば簡単に逃げられるのに、こうなってしまうと、もう、私は身動きがとれない。
「俺なんて、初めてミナミに会ったときから、ずっとドキドキしてたっていうのに」
「あーどうしよう。なんだか無性にキスしたくなったんだけど。……駄目?」
私は頭がクラクラするほど、大きく首を横に振った。
「駄目! 無理よ!」
「どうして?」
「だって……こんな場所じゃ、人が見てるし」
「ここには俺たちしかいないよ?」
耳を澄ますと、微かにバスのエンジン音が聞こえてきた。
「ほらっ! バスも来るから……」
「あれは路線バスだよ。ずいぶん離れてるし、ここには当分バスは来ない」
海は私の反応を楽しみながら、周囲を見回してそう言った。
──どうしよう。
名前も年齢も、全て本当のことを知られて、「ありのまま」になってしまった私。
──そう思っただけで、まるで身ぐるみはがされてしまったように恥ずかしくて。
私の心臓のドキドキという音は一層早くなり、顔は湯気でも出てるんじゃないかと思うほど、赤く、熱くなっていった。
そんな私の気持ちを知ってか知らずか、海の手が私の手にそっと触れる。
だけど。
たったそれだけのことなのに、飛び上がりそうなほどドキッとさせられて。
私は思わずその手を払いのけてしまった。
「ごめんね……なんだか私、ドキドキしちゃって。おかしいよね、今までこんなことなかったのに」
海は笑って、もう一度私の手をぎゅっと握った。
今度は、私が決して逃げないように、強く、包み込むように。
「ミナミはやっぱり狡いよね」
私が抵抗しないのを確認すると、海はその手を私の肩へ移動させた。
私の肩を抱くその手は優しかった。
逃げようと思えば簡単に逃げられるのに、こうなってしまうと、もう、私は身動きがとれない。
「俺なんて、初めてミナミに会ったときから、ずっとドキドキしてたっていうのに」