三度目のキスをしたらサヨナラ
「あれ? でも、今日は夕方からバイトだったよね。私、今日は暇だからシフト替わるよ?」

私と多華子は同じ喫茶店でバイトをしていた。

だけど、さほど大きくないお店なので、週末以外はシフトが重なることはなかった。

「いいの、夕方までで。相手は受験生だから早く切り上げないとね」

「年下なの?」

「ううん。甘え上手な、年上」

昨晩の『バイバイ』と大きく手を振りながら笑うソウの姿を思い出すと、自然と口元が緩んだ。
……全くもう。やることが子供っぽいんだから。

「えーっ、そんな人がいるなんて初耳!」

多華子は私の肩に手をかけ、鏡に映る私の顔に自分の顔を並べた。

もっと詳しい話を聞きたいと、その目をキラキラ輝かせながら。

「知らなくて当たり前だよ、まだ会って3日目だもん」

「──その人と、付き合ってるの?」

その言葉には、少しだけ躊躇いがあった。

最近の私たちはこんな話題になったとき、言葉に出さなくても蒼太の影がちらついて、いつも気まずくなっていた。

──だけど今日は違う。

「ううん!」

私は自分でも不思議なくらい穏やかに、多華子に笑顔を返した。

「ホントのことを言うとね、デートじゃなくて≪ゲーム≫なの。彼はその相手」

「ゲーム?」

「そう。私たちが幸せになるための≪ゲーム≫」


こうして、私は多華子に昨日までの出来事を話し始めた。

他愛もないことで盛り上がって笑いあった高校時代のように。

お互いの恋の悩みを打ち明け合っていた1ヶ月前までのように──。
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