牙龍 私を助けた不良 上
「中で、か・・・」
女はそれが何か、って感じの顔をしたまま、隣にいる女と顔を見合わせて肩をすくめた。
それから、手にしていたヘッドフォンを俺に渡した。小さいのに、やけに重たく感じた。
「それ、大事なモノなんだね」
「・・・何で?」
「──薔薇の花が持つトゲみたい」
「・・・小さな抵抗の証」
「・・・・・」
「それじゃ、私達はもう行くよ」
意味深な言葉を残して、女達は俺達の前から去っていった。
何故かやけに、その言葉は胸の奥深くまで浸透して、何度も頭の中でリピートされた。