牙龍 私を助けた不良 上



「ダメかな、舞」


『はいはい、分かったよ。やればいいんでしょ、望夢』



──折れたのは、電話の向こう側にいる少女の方だった。仕方ないと言いたげに、溜め息を吐いている。


望夢と呼ばれた少女は、天井を指していた指を下ろして、小さく息を吐いた。



「ありがと。報酬は、前に欲しがってたモノでいい?」


『んにゃ、今回はタダでいいや。珍しいあんたが見れたからね』


「・・・悪趣味」


『そりゃどうも』



明日の昼間までには届ける、という言葉を最後に電話は切れた。


ケータイを閉じて、サイドテーブルに置くと、望夢は再び星を宙に描き始める。


「・・・約束、ようやく果たせるよ」



呟いた声は、宙に溶けて消えた。




< 476 / 476 >

ひとこと感想を投票しよう!

あなたはこの作品を・・・

と評価しました。
すべての感想数:31

この作品の感想を3つまで選択できます。

  • 処理中にエラーが発生したためひとこと感想を投票できません。
  • 投票する

この作家の他の作品

緋龍 空の彼方で舞って
梨瑠亜/著

総文字数/10,171

恋愛(キケン・ダーク)54ページ

表紙を見る 表紙を閉じる
牙龍 私を助けた不良 凜華が緋龍だった頃の物語や 『牙龍 私を助けた不良』の方で あまり語れなかった事を 書きたいと思ってます また感想ノートにて リクエストされたことがあれば 出来る限り書こうと思ってます パスは毎月ファンメールでお知らせ →現在プロフに記載しております(2017/9/4) 若干後半のネタバレあります
牙龍 私を助けた不良 下
梨瑠亜/著

総文字数/25,749

恋愛(キケン・ダーク)89ページ

表紙を見る 表紙を閉じる
守りたかったものは いつだってすぐ傍にあった 大切になったものは いつの間にかすぐ傍にあった 手を伸ばせば届く場所に 大切なモノだけは守り抜きたい かつて緋色を纏いし少女 その力を誰がために奮うのか 「大切だと思ったから」 過去に夢みていた約束を 君となら未来を見たいと思うから 緋姫凜華 RINKA AKAHIME × 大切なのは追い付きたかった人 全不良のトップに立つ男 その力を唯一人のために奮い 「ずっと変わってない」 一番大切な人を守ること 約束した未来を守り続けるために 木藤龍騎 RYUKI KITO 孤独な少女が手離した それは大罪を犯してしまった代償 誰かを守りたいという心 何よりも大切なモノ 『一緒なら未来に行ける』 緋色少女×銀色少年 どこか切なく甘い恋の物語 番外編をパスつき公開 パスはファンメにて配信 start 2013/06/08(Sat) finish 201*/**/**(***)

この作品を見ている人にオススメ

読み込み中…

この作品をシェア

pagetop