嘘カノ生活

「迷惑だったら今頃あたしは朝未の隣に居ない。あたしは、朝未に頼って欲しいの。あんたは普段から無理してるんだから、少し頼り過ぎる位が丁度良いよ」　
　
「夕菜…」　
　


夕菜はあたしから目を逸らさない。

あたしも、逸らせなかった。



「隠されるとあたしも辛いんだよ。あたしが"今日も間宮さんと帰るの？"って聞いた時も、朝未普通に笑って"うん"て言うし…」

「うん…」

「黙って抱え込むのとか、そっちの方が心配なの」

　
　
関谷と、同じ事を言った。

抱え込むことで心配をかけるなら、あたしはどれだけ２人に心配をかけてきたんだろう。　
　
　
心配をかけていたのに、あたしは今どうしてこんなに嬉しいと思っているんだろう。

　
　
「今まで言わなくて、ごめんね夕菜」

「ばか。ほんとだよ」　
　
　
怒っていた夕菜の顔は途中から、心配する、いつもの頼れる夕菜の顔になっていた。　　
　
　
　
心配かけることが嬉しい訳じゃなかった。

こうして、心配してくれるから嬉しいんだと。


はにかんだような嬉しさが奥の方から込み上げてきて、つい顔に出てしまう。


夕菜も、同じだと思った。