嘘カノ生活
「だめ?」

「で、でも…」



正直に言えば、ダメな訳がない。

けれどもう受け答えが出来るほどの余裕はあたしにはなかった。

だから何も言えずに口を濁す。

 
 
「…朝未」

「は、はい!」

「答え待つのやめた」

「え?」



そう聞こえたその瞬間、間宮さんはもう片方の手であたしの顔を後頭部から引き寄せる。

いきなりの事で抵抗もできなくて、されるがまま、唇を合わせた。


長い、長いキスで。

 
ただ唇が合わさっているだけなのに、そこから全身に熱が回るみたいだった。


そういえば、初めてキスしたときもいきなりだったっけ。

そう思ってから、そんな事を考える余裕がある自分に驚く。

 

けれどどの感情よりも、嬉しさと幸せでいっぱいになって、あたしはゆっくり目を閉じた。
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